「お前が、だな」


顔の痣だけを変化の術で隠した姿で、道を進んでいくと、その途中で声をかけられた。
声をかけた相手を見る。
まったく記憶にない他人だった。
だが、俺の名前を知っているってことは、何かしらの関係か縁かがあるんだろう。
言葉を返さずに反応を見ていると、なぜかいらだったようにそいつの目つきが悪くなった。
あ、こいつ短気な性格なんだな。
最近ようやく人を観察しようという気になっていた俺は、わずかな表情の変化から性格を見極めようとしている。


「答えろ!!」
「・・・そうだって言ったら?」


激昂、その言葉が一番近いんだろう。
小刻みに震えるその様子は、痛みを絶える患者の様子を連想させた。
そういえばこれからある患者の診察に行くんだったよな。
今更ながらに今日しなければならない予定を思い出した。


「用事があるなら悪いが、今日は予定があるからまたの機会にしてくれないか」


俺の名前を知っているなら、また会うことも難しくはない。
俺の存在は別に隠してるわけでもないし、アカデミーやら任務の受付所やらで聞けば簡単に俺の居場所はわかるはずだ。
この里でプライバシーとかの問題は、忍びだからそれくらいの守秘義務は個人で守れというのが基本思考らしい。
まぁ、里にとって知られると困る情報は里が管理しているが。


「・・・・・・お前のせいでッ」
「は?」


唐突な行動。
確実に狙われていた武器の目標は、俺の心臓部分。
とっさに飛びのいてかわすと、ぎらぎらした目でにらみつけられた。
もしかして俺に個人的感情=恨みを持っていたとか、そういうことか?
ま、まったくわからなかった。
人の思考を推測するってこんなにも難しいことだったんだな。


「まぁ、なんか自分でも考えてることがずれてるような気もしないでもないが」
「殺してやる!!」


言われていることは物騒だ。
というか、やってることも物騒なんだが。
さっきの襲撃も、俺の改造しまくった身体能力がなかったら確実に死んでいただろう。
改めて、過去の自分の体を改造した自分を褒めたくなってくる。
お前のおかげで俺は今生きてるよ、と。


「だから考えることが違うって・・・」


自分で突っ込んでみる。
その間も、飛来してくる刃物を避け続け、その相手を観察する。
感情にまかされているようで、その攻撃のパターンは正確に俺の行動を狭めていて、とにかく俺の命を抹消することを第一としているようだ。
その表情は、なんというか、鬼の形相? あまり見られたものじゃない。
感情が高ぶりすぎると、みんなあんな風になってしまうのだろうか。


「シィッ!!」
「っと、」


飛来する数々の刃物の中に、紛れ込んでいた札を確認して、大きく跳ぶ。
それが建物の壁に触れた瞬間、小規模な爆発がおきて壁に穴が開いた。
・・・損害賠償は目の前の名前も知らないこいつにしてくれ、俺は関係ない。
里のはずれで襲われてよかった、もしかしたら邪魔が入らないようにこいつがしくんでいたのかもしれないが。
さて、いい加減にそろそろこいつと付き合うのやめないと今日の任務に悪影響が出るな。 簡単に言えば遅刻する。
俺は、ナルトの上司のようにはなりたくはないんだ。


「というわけだ」


言われてるほうは何のことだかさっぱりわからないに違いない。
だが、俺もちゃんと伝える意思がないからそれでいい。



地面を蹴る

砂埃が舞う

着地 伏せる

風が裂ける音

振り下ろされる

背後へ移動

変わる視界

見える 診える

人体の急所

特化した身体能力

異常なる手

殺せ

死なせてしまえ







――黙祷。





















しばらくして、襲撃犯の正体、というか、身元が分かった。
忍びの登録書をたまたま見ていたら、見覚えのある顔を見つけたからだ。
その経歴を見ても、なぜ俺の命を狙ったのかわからない。
俺でも治せなかった怪我を負ったわけでもなし、何かしらの接点があったわけでもなし。
というか、そもそもなんで俺の名前を知っていたのかすらわからなかった。
まぁ、今更知っても知らなくても、状況も心境もかわらないだろう。
気にするだけ、無駄というやつだ。



・・・・・・少しだけでも、襲われた原因が知りたかったような気がしなくもなかったけれど、それこそ気にしないことにした。











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というわけで「012.仇敵」で、佳月さまからNARUTO夢主の戦闘でした☆
・・・って、あれ、描写すくな・・・ご、ごごごごめんなさッ!!
精一杯がんばってみたのですが今の虚無にはこれが精一杯です!!
こんなんでよろしければ煮るなり焼くなり曝し首にするなりご自由にどうぞッ!!

それでは、リクエストありがとうございましたッ!!