*「
001.始祖」の主人公です。
奈良シカマルが、親友であるうずまきナルトの兄、と任務で同行することになった。
ちなみに、Sランク。
上忍である二人のペアで赴けとの指令だ。
「はじめまして、奈良シカマルくん。 僕は。 知っているとは思うけど、ナルトくんの兄です」
「・・・・・・シカマルっす。 よろしく」
最低限の挨拶は交わす。
シカマルのその心の中でこれから行う任務の作戦を練りながらも色々な思惑が渦巻いていた。
以下が現地に向かいながら黙って走るシカマルの思考、の一部分である。
(めんどくせーめんどくせーんっとにめんどくせーな、おい
んでんなこと俺がやんなきゃなんねーんだよ別に俺じゃなくてもかまわねーだろーが
俺こいつとすっげー関わりたくねーんだけど嫌な予感するしあーこれから行く場所では敵国の忍びが待ち伏せてるって思ったほうがいいなだいたい俺解析部の仕事が山のようにたまってんのによぉ
あー今日の天気はどーかな湿気のある風があるからいつもより重力付加微妙にプラスさせなきゃなんねーなあぁ計算がめんどくせー適当でいっか
なんせあのナルトの兄だからトラブル招き寄せそうだしそのくせ自分だけ平然とそれを回避しそうだしな
そういえばあの人の実力あんまり把握してねぇな俺が知ってるのは全部人づてと報告書によるものだしあてにならないだろーしな
今回はある意味いい機会か、あー、ほんっとにめんどくせーンでいちいち俺が・・・
・・・空気が変わった、これは、結界か?)
めんどくさがりなくせに色々と自分から面倒ごとを抱え込んでいるのをなんとなく自覚しながらシカマルは目的地へ向かって動かしていた足を止めた。
同時にも近くの木の枝の上に音も立てずに静止する。
その身のこなしだけで、その気配の消し方で相当な実力があると判断はできるものの、それがいったいどのくらいのものなのか具体的なことまではわからない。
ふ、とが小さく息をはく。
「さて、お仕事の時間かなぁ?」
まるで、気まぐれにお買い物にでも行こうか、とでも言うように、軽く、なんでもないように。
この緊迫した空気の中、彼の声は、場違いに響いて、消える。
この場には俺しかいないのに、なぜかものすごく申し訳ない気分になるのはなんでだろうか。
笑わそうと親父ギャグを飛ばして余計にしらけた空気になったときみたいな・・・、俺じゃないぞギャグを言ったのは。
気を取り直してあたりの様子を見る。
への反応は無視だ無視。
あいつは俺の理解できるような奴じゃない。
頭や成績とか半端なく優れているくせに、馬鹿で自分の欲にある意味素直で無謀で変わった奴だとは認識しているが・・・まぁとにかく、今は任務だ任務。
「標的の気配は?」
「んー、前方三百メートル、集団で停止、移動の休憩中かな」
さすが、というか、そんな先までの気配を感じられるなんて人間業じゃねぇ。
呆れたため息を心中にとどめ、状況を判断。
戦略等は事前に俺のほうに一任されている。だけど、にはその必要もいらないと俺は思うんだけどな。
ったく、めんどくせー。俺必要ないんじゃねーの?
ま、依頼されちまったもんはしょうがねぇんだけどよ。
「じゃーさん、あんた、一人で蹴散らせますか」
「えーと・・・、うん、がんばれば・・・?」
「だったら俺援護にまわりますんでつっこんできてください。 作戦は以上です」
「え、ほんとに?」
「ほんとですが、何か」
これ以上単純で無駄がない、作戦とも言えないものを実行しようとしているんだからさすがに不信に思ったのだろうか。
だけど、いちいち標的を策略にかけて、一の手二の手三の手と考えるのはめんどくせぇことこの上ないし、複雑になるぶん成功率が低くなるのが常だ。
・・・まぁ、今までどんなに複雑な戦略を立てて実行しても、任務を成功させる自信はあるのだが。
「とりあえず、好きなように暴れてくれれば結構です」
「そ、わかったよ。 フォローは任せるね」
気楽に言い放たれて、少しだけ拍子抜けする。
いくら同じ里の忍びだとは言っても、こうして顔を合わせたのはつい数時間前なのだ。
そんな相手にこんなあっさりと抵抗無く命を預けるに等しい行為を平然と受け入れるなんて。
それほど、自分の実力に自信があるのか、それとも馬鹿がつくほどのお人よしか。
判断するのをためらっていると、はさっさと標的の撲滅のために飛び出していった。
――考えるのは後だ。 今は、任務に集中しなければ。
結果から言えば、簡単に任務は成功した。
そして、俺もも、大した怪我もなく(さすがに無傷といかなかったが、こういった高ランクの任務で無傷で達成するということは無いといっていい)、思惑通りというか酷くあっさりと、物足りなさを感じさせるくらいに終わってしまった。
うん、特に問題はない。
普通に問題があるのは、このという男だ。
「シカマル君はさ、ナルト君と同期だったんだよね?
じゃあさじゃあさ、昔のナルト君って君の目から見てどんな感じだった?
あ、結構ないたずらっ子だったってのは噂に聞いてたんだけどさ、情報源があんまりにも悪い言い方するから大して聞いてなくてさ。
火影岩に落書きをしたいたずらなら遠目に見たことあるんだ。 それもたくさんの妨害を潜り抜けてやっと、って感じだったんだけど。
あ、もしかしてシカマル君も一緒にいたずらを仕掛けてみたりとかした?」
わかってはいたが、実感することになるとは思わなかった。
という男は、うずまきナルトの実兄であり、ブラコンとも言えるほどのナルト馬鹿である、と。
いや、確実にブラコンだ。絶対。
任務が終了した、とたんに・・・コレである。
遠い目と、里へ戻る足を動かし、一応に答える。
「――まぁ、今も昔も大して変わってないっすよ。 いたずらというか、時々とんでもないことに巻き込まれるし、俺も巻き込まれたし」
「へええ」
の顔は、もんのすごく輝いている。
同じ親を持つために似通った顔をもっているナルトと重なる。 見間違えるようなことは絶対にないが。
似てるけどほんっと似てないよな、こいつら。
だんだん口が悪くなってくる、というか遠慮がなくなってるのはしょうがない。 こんだけ会話させられれば誰だって俺だってそうなる、はずだ。
それに、は、ある種のカリスマ性というか、何か人を惹きつける魅力を持っている。
そこらへんは、確かにナルトと兄弟なんだな、と思わせた。
「でもほんっとにナルト君って綺麗だし可愛いから、不埒なやつらから狙われたりとかしてたでしょ、そこらへんどうなの?」
「・・・は?」
「だってさー、あの顔にあの実力だよ? 次期火影候補だよ? もてないってほうがおかしいよねー」
「・・・まぁ、たしかにそうっすけど」
そんな奴らは裏でナルト自身がこっぴどく振ったりそれでもしつこいストーカーまがいの奴には制裁を加えたりとかしてるみたいだが・・・、俺もよく知らない、というより知りたくない。
・・・あいつの制裁の恐ろしさは知ってる。 すべては自分自身の心の平穏のためには知らないほうがいい。
生まれて初めて、知識欲の塊みたいな俺が『世の中には知らなくてもいいこともあるんだな』と思わせたのがそれだったりするからな。
「ナルト君って優しいじゃない? そういう輩からシカマル君が陰ながらに守ってくれてたのかなぁって!!」
な ん で す と ?
「や、ちが「いやいやいや、謙遜しなくっていいんだよ? きっと大変だったでしょ?
きっと下駄箱とかにあふれかえりそうになった恋文とかを回収して処理したりナルト君を放課後呼び出そうとする子には妨害工作をしてあんまり接点を持たせないようにとか友達とかになった子には徹底的にその身元を調べて安全かどうかを判断したりとか関係を持とうとした怪しい奴には制裁を加えたりナルト君にもあんまり無自覚に誘惑するなとか注意したりとか!!」
お前は木の葉の里をどんなだと思ってる。
ちなみにアカデミーには下駄箱はない。
というか、お前はドラマ見すぎだ。
なんだそれ、昼メロか。
俺は長年思いを寄せている幼馴染兼ボディーガードか。
「だからちが「そうだよねそんな簡単に認めるわけにはいかないよねなぜなら君はあくまで陰ながらに行動しているのだからでもシカマル君も自分の気持ちに素直になったほうがいいと思うよ? いつまでもぐずぐずしてると他の人にとられちゃうんだからさ。
あぁ僕のことは気にしなくていいよ、だって同姓に対してそういう感情を持つってことには残念ながらに耐性があるからさ。
僕も普通よりは少しだけ異性にも同姓にももてたりするんだ。 だから大丈夫さ。
今日の任務で君を観察して思ったんだ、シカマル君なら安心してナルト君を任せられるし幸せにしてくれるって!!
いやあ、火影様にシカマル君とペアを組ませてくれるように頼んでみてよかった!!」
・・・・・・・・・理解不能、というか、・・・あー。
こういうときはとりあえず、いろいろと考えるのは後回しにするに限る。つまり現実逃避。
まるっきり誤解というか見当違いなことを言われていることだけは分かるが何かを言うたびに言葉をさえぎられるし。
「となるといつかシカマル君が僕の弟になるのかな? うわ〜楽しみ!! 結婚式には僕が親族代表としてスピーチさせてね!!」
どこからつっこめばいいのかわからない。
同姓同士だというところからか、結婚なんてできないというところからか、そもそも俺はそんな趣味もってないというところから。
というか、人の話を聞け、聞いてくれ。
「だから違うっていっ「またまた〜、カッコつけんなよ」
たしかにカッコいいけどね、その心意義は!!とにっこり笑っているを見て、はっきりと悟った。
どうしよう、やっぱりこいつだめだ。
最初に盗み見たナルトへの態度を見てても思ったけど、人のことこれっぽっちも気にしてねぇ。
まったくなんでこんなに振り回されてるんだよ。
だから違うっつってんだろ!!
俺の訴えは簡単にスルーされた。
・・・・・・めんどくせぇ、ほんっとにめんどくせぇよ・・・。
誰かなんとかしてくれ・・・。
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題「013.カッコつけんな」でシカマルでした☆
えっと、「001.始祖」と同一人物・・・のはずですたぶん。
い、いまいち面白くなりきれなかった・・・(がくり
宵知さまにささげます!!