タイムスリップ〜♪


今まで生きてきた十八年間、いろいろな経験をしてきたとは思っていたけれど、こんな体験をマジでするとは思ってなかった。
これが幸運なことなのか不運なことなのか?
や、絶対不運だ。ってかありえない・・・。


俺の目の前にいるのは赤い着物を着て、長い赤髪に整った顔。
オプションで腰にはしっかりと刀が刺さってます・・・・・・。

え、なにこの人銃刀法違反ですよ!!!誰か、警察呼んでー!!
と、叫びだしたい気持ちを必死で抑えつつ、なんか目線がばっちりしっかり合っちゃった状態で固まっちゃってます。


やー、こわーい。夜の暗闇がその怖さを倍増させてまーす。
なんかあたりに血の香りが漂ってるしー、そこらへんの影から黒い液水溜りがでてきてるしー、この人なんか殺気だってるしー、思いっきりにらみつけられてしかも刀に手がかかってていつでも抜けれる状態だしー。
っていうか俺はなんでこんなわけわかんない状態にいるんですかー。
たしか俺、ただ普通に就寝しようとしてたはずなんだけどなー。
俺家にいるときは着物っていう変わり者でさー、寝巻きの着物は真っ黒なやつ、おにゅーなやつだから綺麗なまんまよ?それに着替えてたらぐにゃりと視界が歪んで・・・。

気づいたらこの殺伐とした空気のなかに放り込まれてたってわけですか、そうですか。
・・・全然まったくこれっぽっちも原因がわかりませんが。

あれ、俺業務用のカッター持ってる?
あー!!そうだそうだ、視界が歪んだときにめまいかと思ってなにかつかもうとしたんだけどそのときにカッター持って来ちゃったのか!!
うんうん、納得納得。

あー月が綺麗だなー。
それになんだか空気も澄んでるような気がするし。









・・・・・・さて、現実逃避はそろそろ限界かなー。
なんか赤髪さんがすっごいにらみつけてくれちゃって痛いんですけど。
怖い怖い怖い怖い怖い!!
俺だって外見だけは怖いってよく言われるけどおにーさん、外見は美人なのにものすっごい怖いっすよ!!
ほら、俺って顔に痣とかあっちゃったりするけど中身はただの小心者ですからー!!
と、とにかく、この殺伐とした沈黙を破らねば・・・


「綺麗だな」


って、俺なに言っちゃってるんだー!!
男に綺麗は人にもよるけどあまりほめ言葉に取られないだろー!!
ごめんなさいごめんなさいごめんなさーい!!
だから命だけは許してー!!その刀にかけた手を下げてー!!
俺、痛いの勘弁だしまだまだ生きたりないからここで死ぬのは嫌ー!!
えぇっと、こ、こ、こんな時はなんとかして友好関係を築こう!!
まずは自分の名前を名乗ってから相手のを聞くんだ!!


、お前は?」


わー!!お前って言っちゃったよ!!それじゃあ好印象取れないだろうが!?
もともと好印象どころじゃないかもしんないけどさ!!
混乱すると行動が意味不明になるこの悪癖を頼むからどうにかしてくれー!!?
心の中だけでわめきまくっていることが相手さんにばれたのか、ふぅ、とため息を付かれた。


「・・・抜刀斎」


は?ばっとうさい?
んな変な名前付ける親いるのか?
や、ごめんなさい!!変なとか思っちゃってごめんなさいそんなこと思えるような立場じゃないんだった、そう素敵なお名前で!!
え、えーとえーと、友好関係の次にすることはなんでしたっけ、これからよろしくねとか?仲良くなりましょうとか?なんなら隠し芸でも披露しましょうか?
何を言えばいいのか迷いまくって沈黙してたら抜刀斎さんがもう一度ため息を付きました。


「緋村、剣心だ」
「・・・剣心」


あ、もしかしてそっちが名前だった?
俺もしかして勘違いしてたかも?
そうだよなー普通抜刀斎なんて名前なんかないよなー、あるとしてもニックネームとかなんかだろ。
うん、勘違いしてごめんなさい。
でもこれ以上この空気に耐えられなさそうだからここら辺で俺は退散させていただきます。


「またな、剣心」


機会があればまた会おうなー、でもそのときにはもっと友好的に平和的に話し合いできたらいいなー、俺は超がつくほどの平和主義者。
というか、弱者。
喧嘩とかになっても逃げ回るだけでいっぱいいっぱいですから。
ドッチボールとかでは最後まで生き残るタイプです。
おかげで『かわしの』とかいう変なあだ名で呼ばれるから!!


さてさて、剣心とは分かれてきたけど、ここってどこよ?