「っつーわけで、俺は忍びを引退するぜ」


火影にそう報告すると、呆気にとられた顔をされた。
ま、確かにこの俺が子守なんてやるかって最初は思ったけどな。
つーか顔合わせしたら任務放棄する気満々だったし。
俺は気に入った任務しか受け付けないからな。
今回はあいつが気に入ったから世話役なんて引き受けたが、滅多にないことには間違いない。
あいつがどんなふうに育っても文句は言わせないけどな。
ま、その分ちゃんと世渡りできるように責任は取るし?
里にも利益のあがるようにもするし?
少しくらい素直さだって残るかもしれないしな?
言うと火影は何かをあきらめたかのようにため息をついて承諾した。
ま、当然だな。
俺以外にあいつを育てられるような奴いねぇし。
というか、最初の襲撃でほとんど実力トップの奴らやられてるんだろ?
里をこれ以上忍不足にしてどうすんだよ。
ま、俺には関係のないことだけどな。








屋敷に戻ると、今度は襲撃はされなかった。
三回も同じ結果で同じ結末だったらどんなに物覚えが悪くても学習するか。
実はお仕置きと称した虐待は、俺の楽しみだったりするんだが。
屋敷の一番奥の部屋、勝手に仕置き部屋と決めた部屋にはいないことを確認し、中央の部屋へ行く。
化け物ひとつで住み着いていたとだけあってなかなかいい感じに廃れていたが、それらは火遁の術ですべて燃やしつくした。
家具などは一切この家にはない。
この家は俺が最低限雨風しのげればそれでいいし、食事は侵入してきた動物でも捕って喰わせればいいだろ、俺もそうやって育ってきたんだし。
ま、それで人間も喰ったりしたからこんなに歪んだ人格に形成された要因のひとつだったかもしれない可能性は否定しない。
とにかく、俺は腹が満たされればそれでいい。
壁に背を預け、どっかりと胡坐をかいて座り込んだ。


・・・」


弱い声。
部屋に入ってきていたのには気づいていたが、声をかけてくるとは思わなかった。
下から媚びるように見上げてくる視線にくっと口角があがる。
黙って擦り寄ってきた金の髪の感触を楽しんで、しばらくしてからなんだ、と促した。
ナルトは俺の教え込んだ許しを請う方法を実践する。

ぴちゃり。 くちゅ 。

指先に感じる湿った感触。
わずかに指先を舌に押し付けると、ひくりと体を震わせそれでも懸命に奉仕する。
小さな三歳児の口には、中指を口に含むので精一杯だ。
くつくつと笑う。
まずこの化け物に教え込んだこと。
俺には絶対服従。
ただそれだけ。
当然のことだ。
獣の世界では、強い奴が上位に立ち、弱い奴は服従する。
三回も俺のほうが圧倒的に強いということがわかると、結構すんなりとそこら辺のことはわかったようだ。


「で、何が欲しいんだよ」
「・・・・・・」


ナルトはまだ言葉を覚えていない。
教え込んだ言葉は俺の名前とナルトの名前だけだ。
だけど俺がどんな意味を言っているのか汲み取ったようで、おそるおそる手を俺のひざに乗せた。
それで、言いたいことはわかった。
ったく。
ナルトを抱き上げて組んだ足の間に入れる。
安心したようにナルトは俺に体重を預けた。
顔を上げ、近づいたと思うと、唇に感触。
・・・・・・まぁいいか。