始まりの一日


































始まりの一日 −Thanks for 20000HIT Request #1−































「気付くのおっそ」


「え、そこ?」



 死ぬ気の告白のあと 第一声に思わず突っ込んでしまった

 彼と知り合って漸く一年が経つ

 割と話すようになってからは半年

 毎日のように彼に会うようになってからは三ヶ月



「や、まぁ鈍い鈍いとは思ってたからいいんだけどさ」


「えーっと、なんかさ、そういう言い方されるとは予想してなかったんだけど・・・」


「へぇ、一応俺の反応も考えてたのか?」



 そう言ってにやりと人の悪い笑みを浮かべる君、正式名称 奈良シカマル



「良くて”友達以上の何を期待してやがる、めんどくせぇ”、で、悪くて”死ね”?」


「ほぉ、が俺に対してどういう見解を持っているのかがよくわかるな」


「いやまぁ、だってねぇ?」


「んで?どっちにしても玉砕なのに言ったのか?」


「いや別に言う気はなかったし、ていうか、無理矢理言わせたくせに」


「まぁな」



 そういうトコ素直だよね

 まぁそうしていつもいつも僕の予想を裏切るあたりも好きなんだけどさ

 ていうか、言っちゃったのにそうして変わらず話してくれてる事は僕にとっては救いなんだろうね

 きりきりと胸とか胃とか痛むけど



「で、まぁ最初に戻るが・・・気付くのおっそ」



 また同じ台詞で、今度は溜息付き



「あー・・・もしかしてわかってた?」



 僕って結構顔に出てる?

 そう思って首を傾げれば



「バレバレだろ、まぁそれが面白くて黙ってたんだが」



 そういうトコも正直だよね

 ていうか、人で遊ばないでよ、こっちは死にそうな程悩みまくってたってのに



「それはそれは、随分滑稽だったろうね」


「まぁな」



 自嘲の笑みに冷たく頷くから、流石に泣きそうになった

 でも



「つか、こんな滑稽な自分に呆れるし、いい加減は鈍すぎると思う」



 えっと、ちょっと意味がわかんなくて、ほえ?っと顔を上げたら



「此処まで来てそれはどうなんだ?つか鈍いのは業とか?それならある意味楽なんだけど」


「あ、ごめん、理解出来てないみたいなんだけど・・・u」


「だから、此処まで俺がに近付いてんのに、なんでやっと”好きだってわかった”って、そこなわけ?」



 いやなんでって言われても・・・ねぇ?



「俺がさ、わざわざ忍の事務所なんて関係無い場所に毎日のように顔出して

 の趣味とか好みとかそれとなく聞き出して、話すきっかけを作ろうと勉強してよ

 火影脅してのスケジュール把握したり隣の席の奴にそれとなく俺との反応聞き出したり

 の職場からそれとなくくの一の数を減らしてみたり

 後にある本棚にそれっぽい本置いてみたり

 読んでないみたいだけどな

 狙いの馬鹿に長期任務割り振ったり

 こんだけ努力してかなり良い感じになってきたかなーとか思ってたら

 え?なに?ってまだ俺の事好きだってわかってなかったわけ?

 つか俺の気持ちもまだわかんないとか言うわけ?」


「・・・シカマルって結構話すね」


「聞けよ、つか聞いてください」


「ごめんu」



 敬語なのに脅されてる・・・っていうかなんでこんなに上から目線;?

 しかもなんでそんな内部の情報操作とかしてるわけ?

 いいの?



「・・・・・・え?でも・・・へ?シカマルって僕の事好きなの?」


「ああ」



 いや、そんなあっさり言われても



「でもから告白させたくて俺は誘惑してただけだけど」



 ああ、そりゃ随分と惑わせてくれたものデスネ;

 お陰で僕から告白しちゃいましたとも、ご希望通りにね

 なんていうか、ちょっと疲れて

 あぁ・・・って溜息吐いたら、ふいにシカマルはふって笑みを浮かべて



もちょっとは俺の事で悩め?」



 いやいや、可愛い顔してなに言ってんだよ

 これ以上僕の寿命縮めないでくれって・・・;;



「・・・・・あの、くん、ちょっといいかな・・・・」



 その時、いつの間にか僕の傍には事務所長が恐る恐ると近付いてきた



「そろそろお昼休憩終わりなんだけど・・・;;」



 手には忍達の給料表

 あ、そういや昼から計算しなきゃいけないんだったっけ

 しかも時計は休み時間をとっくに過ぎていて

 すいません、すぐにと腰を浮かし掛けたまさにその時



「今忙しいから、後にしてくれ」



 そのあまりの堂々っぷりに事務所長の動きも止まる

 って、なんでシカマルが答えてるんだ;;



「シカマル、悪いけど仕事だから・・・」


「今と俺は取り込み中だ」


「いやいや、シカマルもアカデミーに戻らないと怒られんだろ?」


「今はそれどころじゃねぇし」



 それどころだよ



「えっと・・・でも・・・・・」



 あんまりにも堂々と腕を組んで事務所のカウンター越しに僕と事務所長を眺めるシカマルに

 ちょっと気の弱い所長が尚も頑張って口を挟もうとしたら



「あんま邪魔するなら外任務でも行かせて静かにしてやろうか?」



 何言ってんだこら

 は?って顔して、二人してぽかんとシカマルを見たら

 こんこん、と、シカマルの後の扉が音を立てて開き



「失礼します、受付の者ですが事務所長殿はおられますか?」



 受付でも有名な美人くの一がにこりと書類片手に入ってきて



「あ、はい、私ですが・・・//」



 ちょっと照れながらも小さな挙手付きで応える所長



「ああ、貴方にBランク任務の要請が来ていますので、お願いしますね」


「は?」


「こちら任務内容となっています」


「へ?」


「それでは、終了して報告書は受付までお願いしますね」



 受付嬢ならではの輝く笑顔と共に部屋を出るくの一




 パタン




 半ば無理矢理手渡された任務書を放心したまま見詰める所長

 同じく放心状態の俺



、これで邪魔者は消えたなv」



 一人ご機嫌な彼に、背筋を嫌な汗がつたう



「・・・もしかして・・・今のシカマルが・・・・・・u」


「ん?俺はずっと此処に居たぞ?たまたま所長に任務が来たんだろ?」


「たまたまu?」


「ああ、たまたま、な」



 ならそのにやっとした笑みはなんなんだ;;

 だけどそれ以上はなんとなく聞けない・・・つか聞きたくないッ;;



、人間細かいトコはスルーだ」



 いやもう何が細かいのかもわかんないけどさぁッ;;



「話が逸れて悪かったな、ああ、の告白は喜んで受けさせてもらうぜ?」



 極上の微笑みを浮かべるシカマルとは反対に僕の口元はどこか引き攣ってた



「えっと・・・や、でもちょっと考える事が出来たかなぁみたいな・・・」


「ん?この場でキスでもしとくか?」


「すいません勘弁してくださいっ煤v



 ぐいっとカウンターに身を乗り出すシカマルを椅子が鳴る程仰け反って交わす

 一応人目あるから!所長は放心してるけど、皆呆れて放心してるけど、他の事務員居るから;!!



「ま、焦りは禁物ってか」



 そう言うとシカマルはひらりと身を翻し



「また帰りにでも来るから、勿論待っててくれるよなぁ?」



 疑問の形を取っているとは言え有無を言わせぬ言葉を残し

 僕の答えなど聞く気も無く部屋の扉からあっさりと帰っていった

 まるで嵐

 まるで天災

 まるで



「あの・・・さん、大丈夫ですか・・・;;?」



 すっかり静かになってしまった事務所の隣の席から恐る恐ると訪ねる事務員の彼に



「・・・・・・・・や、今更ながら色々と気付いたっていうか・・・・」


「ああ、まぁ、くの一が減ったりおかしな本があったりってねぇ・・・不思議とは思ってましたが・・・・・」



 まさかあの子がなんて、未だ半信半疑ですよ、と

 明らかな作り笑いを浮かべるものだから



「いや、そうじゃなくて」


「え?」



 僕はぱたぱたと手と首を振る



「なんだかすっかり主導権握られてるけど・・・もしかしてシカマルの方が攻めなのかなって・・・

 っていうか僕、アカデミー生に手を出されるって事になるのかなぁ・・・」



 そう言った瞬間、事務所内全体がぴしりと音を立てて固まったのを僕は知らない



「それとも僕が上でいいのかな・・・これが所謂ヘタレ攻めってやつ?」



 ちなみにシカマルの置いたという後の本を実は読んでいた事を

 シカマルすら知らなかったなんて

 僕も知らなかった

 そんな一日が新たな幕開け












--------------------------------------------------------------------------

宵知さんから勝手に奪って来ちゃいました☆(もちろん事後報告で・・・
こんなシカマルが大好きだー!!