年に一度の特別な日




毎年この日、俺にとっては他の人とはちょっと違う意味合いで特別な日が来る。
事前に火影の許可を得ている。
理由を話さなかったから不思議な顔をされたが一日だけなら問題はないと判断されたのか、あっさりと休日をいただけた。
これでどんなに緊急の仕事が入ったとしても、俺には絶対に任務が入ってこない。


ってなわけで、今日は完全な休日。
だけど特に何をするでもなく気の向くままに睡眠をむさぼったり本を読んだりとにかくだらしなく午前をすごしていた。
午後になるとそれも飽きてきて久しぶりに気合を入れて料理でもするか、たまには豪勢な食事もいいだろうと思い、変化をして外にでることにする。

なにせ冷蔵庫の中は空っぽだ。










?」
「ん?」


ある程度の買い物をして、そろそろ家に戻るかと思ったところで名前を呼ばれた。
俺の名前を知っている人物はそう多くない。
振り返るとやはり、そこにいたのはナルトだった。


「何してんだってば?」
「見てのとおり、買出し」


他人の視線があるからか、ドベ口調で首をかしげるナルトはほんとに暗部に所属しているのかと思うほど、なんというか、子供だ。
実際に子供なんだけども。
だがしかし、本来の姿を知っている俺としてはなんだか違和感がぬぐえないのも確か。
最初に助けたときも全然気づかなかったしな。
ちょっと昔のことに思い出して思考を飛ばしそうになったのを察したのか、ナルトの声が俺の思考をもとに戻した。


「今日はがご飯作るんだってば?なぁなぁ!俺も食べに行ってもいい?」
「・・・断る」


短く答えてさっさとその場をあとにしたが、あの様子だと絶対に乗り込んでくるだろう。
しょうがない、夕飯は多めにつくることにしよう。
必然的についてくるもう一人の子供のことを思い出して、スーパーの中へと入った。
あいつらが来なければ今のままでも足りるんだけどな。







「「「おーーーー」」」


あがったのは三人分の歓声。
ついでに言うなら俺の料理の腕と気分も少し上がった。


「すっげ、なんだこの料理たちは」
「このメニューだけでレストラン経営していけそうだな、うまそぅじゃねーか」
「さすが。あ、、プレゼントもって来たぞー、おめでと」



「「は??」」



「ん?なんだ、覚えてたのか、紫苑」
「そりゃあ数少ない謎のドクターの個人情報ですから」


そうか、と俺は頷いてプレゼントの包みを受け取って近くのテーブルに置いた。
それを見て紫苑は残念そうに唇を尖らす。


「今開けないんだ、ザンネン」
「なんだ、悪戯でもしかけてるのかよ」


というか一応成人している男が唇を尖らすな。
料理を並べたテーブルに備え付けてある椅子に座り、そこでやっと俺を凝視していたナルトとシカマルに気づいた。(というかそれまで意図的に無視していた)


「俺の顔に何かくっついているのか?」
「ちげぇ!!わかっててボケてんだろってかボケるにしてもんなベタなボケかたしてんじゃねー!!」
「落ち着けナルト。今日はの誕生日だったのか」


どこかずれているツッコミをするナルトと、それを抑えて確認をとるように俺を見るシカマル。
別に隠してたわけじゃないさ、ただ聞かれていなかったから答えなっただけで。
まぁ、聞かれたとしても正直に答えたかどうかはわからないが。
・・・なんか前にもこんなことを思ったような気がするな。


「とりあえず食え、冷めるから」


せっかく気合を入れて作った料理が冷めて味が半減するのはもったいない。
・・・なんだか妙に俺、保護者してないか?いや、それはきっと気のせいだ。


「だから今日は休み取ったのか」
「まぁな」
「俺らプレゼントなんて用意してないからな」
「教えてもいないのに用意されてたら俺はひくぞ」
「まぁまぁ、じゃあ食べようよ」
「そうだな」


いただきます、と料理に手をつけようとすると、その前に、とシカマルがこれくらいはやらなきゃな、とその手をとめさせた。
ナルトもシカマルがいわんとしていることがわかっているらしく、笑顔になって俺の顔を見る。
紫苑も二人の表情から何かを察したらしく、笑った。
俺は何のことかわからずに三人の笑顔を見る。





「「「誕生日おめでとう!!」」」





その言葉に、俺は少し気恥ずかしくなって目を伏せた。












-----------------------------------------


というわけで、宵知さんがお誕生日だとおっしゃっていたので押し付け品でした。
というか誕生日を迎えられたと聞いてから
「リクエストしてください!!」
と迫った私。
普通逆だろとか思いつつうきうきと書き上げさせていただきました。
こんなんでよろしければどうぞもらってください!!
日ごろお世話になっている感謝とお誕生日のお祝いの気持ちを込めて。