目覚





・・・ここは、どこだ。
・・・俺は、何をしている。
――やけに、うるさい音がするな。
これは・・・、心臓の鼓動の音に、聞こえないか?
確かめようにも、さっきから自分の体を動かすことはできない。
うずくまった体制、平衡感覚がおかしい、まるで水のなかを漂っているみたいだ。
一体、ここはどこなんだ?
視界は最初から役にたたない。俺に認識できるのはただ暗闇が広がっているということ。
音は、この鼓動に似たうるさい音だけ、・・・いや、わずかに水が流れるような音も聞こえる。
気分は、あんまりよくないな。意味不明な事態になっていることに加えて、この人のぬくもりを感じるような空間は俺にとってあまり好ましくない。
というか、正直気持ち悪い。
自分の体さえ確認できない。
なんで自分がこんなに落ち着いているのか、自分でも不思議だ。
もしかしたらあまりの意味不明さに脳がショートしているのかもしれない。

・・・怖い。

なんとかしようとしてもがく。が、せいぜい身じろぎするくらいがなんとかできるだけだ。
声を出して助けを求めようとも、声を出すことができない。それに、助けを求めてもたぶん無駄だとも感じていた。
まわりに人がいるような気配は感じない。
もともと、誰かに助けを求める性格ではないことは自覚している。
素直に助けられるような性格でもないし、もし助けるような人がいても、感謝を示すことはできないと思う。
ならば自分でなんとかするしかない。
もがく、今自分にできることは、それしかない。
自分にできることをして、それでもここから逃れられなかったらそれはそれで諦めがつきそうな気がする。
なかなか、諦めることはできなそうだけど。
そして、諦めの悪さからの状況の変化は以外に早く訪れた。



「あ、動いた」



体中で『感じた』、女の声。
誰だ、どこにいるんだ。



「ホントか?」



別の声。こっちのほうがなぜか遠くから聞こえる。
声質からして、男。
どこかにいるのだろうか、人の姿を探したいが今の俺にはわずかに足を動かすことしかできない。
誰かいるはずなのに・・・、何もできないことが、俺を焦らせる。



「えぇ、元気ねぇ、成長も早いわ・・・。ホラ、また」



それでも俺はわけのわからないものからの抵抗をやめない。
会話をしているらしき声が体中に感じて、くすぐったい。
俺の周りが振動しているみたいだ。
もともと、声や音は空気を振動させて聞くことができるのだが、それにしてもこれは少しおかしい。
そんなことを頭の片隅で考えながら、もがこうとしていると、慈悲に満ちた女の声が響いてきた。



「元気に、健康な体で生まれてきてね。
私たちの愛しい赤ちゃん」



―――それは・・・。
嫌な予感、考えが脳裏に浮かぶ。
もしかして、それは、自分のことだろうか。
あれが話していた赤ちゃんって、自分のことなのか。
嘘だ、ありえない。だって、そんなの、嘘だ!!
わけのわからない怒りと不安がこみ上げてきて、それを消すために動かない体のことを忘れて何かを蹴った。
先ほどより動けるようになったのは自分がこの状態に慣れてきたからなのか、それとも、今この瞬間も、この体が成長しているからなのか。
それを考えることすら、今の状況、俺の憶測を受け入れるようなものだと思えて、自分で自分に不思議な気分になる。
だが、まだ受け入れられない。
信じられるわけがない。今のこの状態を。
だが―――



「あっ、今度は蹴られた」
「おぉ、元気だな、さすが、俺たちの子だ」



普通なら微笑ましい会話が、余計に憎たらしくなっただけだった。







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始まりましたナルト夢。
しかも男主人公でしかもしかも生まれ変わりネタ。
日記のほうにも書きましたが幽白のくらまのネタパクってます☆