「お前って、ほんっとに××だよな」


るせーな、成長途中なんだよ


「せいぜい小学校低学年だろ、どう見たって高校生には・・・ってわわッ!? 悪かったって!!」


もう遅い、この鉄サビにして×××して××××して××してやる


「でたー。 それでこそ×××だよね。 そんなでも国内トップレベルの××を持ってるっていうんだから納得いかねぇよな」


ま、暇だからな、 俺は×××だから


「ずりぃよな。 ××なくていーなんてよ」


××なせいでこんな×××なのかもしれないのにかよ? おかげで常にコレ持たなきゃ安心できねぇしよ


「ま、それもそうか。 で、そろそろそいつの首開放してやったら? 白くなってるぞ」


あと30秒はイケる


「間違いなく死ぬだろ、ソレ」


ちッ しょーがねーなぁ・・・ おーい 起きなきゃ埋めんぞー


「ひでぇ・・・ひでぇよ」











思い出していた。
ほんの少し前のこと。
俺のいたはずの、日常とかいもの。
今では、それが非日常になって、そのころの非日常が日常に摩り替わっている。
急に環境が変わったから、それに順応するのに精一杯で、思い出しもしなかったのに。


ぐー


今はそんなことよりも腹を満たすことだけを考えよう。
身を隠していた木箱の中から這い出し、食い物売り場の多い商店街のようなところへ向かった。

























捕まった。


どうやら最近食料の盗難が急増していたから、警備を強化していたらしい。
食いもんのにおいにつられて深く考えずに忍びこんだ先は、警備員がしっかりと見張っている罠でしたっていうのがオチ。
おかげで散々な目にあった。

全力で暴れまわったせいか、殴られたし、拘束されたし。
目、口、耳、手、足それぞれを封じられて抵抗のしようがないし。
しかも足には重りが付けられた。
ほら、よく漫画とかで見るじゃんか。 鎖の先に丸いボウリングみたいなのがついてるやつ。
あれを実際に身につけることになるとは思わなかった。
なんかお偉いさんと俺の処遇について話してたみたいだけど、よく聞こえなかった。
そしてまた移動させられる。

つーか、腹減った。
気のせいか足元がぐらついてる感じするし。
へたり込むと首に付けられた紐?を引っ張りあげられて強制的に歩かされるし。
ここどこだよ。
なんか足元ごつごつしてるぞ。 岩の上歩いてんのか?
あー腹減りすぎて頭まわんねー。












いつの間にか横になってた。
たぶん気絶してたんだと思う。
周りには誰もいなかった。
ってか、暗いし。
どこだここ。
見えたのは鉄格子。 って、あぁ、牢屋か。
拘束具は外されてた。
んでもって食いもんもそこにあったから食った。

吐いた。

急に食ったから胃が驚いたらしい。
それもまた食った。
少しすっぱかったが空腹がいいスパイスになってうまかった。
とりあえず食い物が消化されるまでじっと横になっていた。










とりあえず脱走できるかどうか、部屋とも言いづらい部屋のなかを探索してみる。
結果、無理だと分かった。
隣の部屋にも男がいたらしく、適当に話しながら暇な時間を潰した。
隣の男はどうやら人を殺した罪でここに放り込まれたらしい。
だが、意外に小心者だった。








暇つぶし相手の機嫌がだんだん降下していく。
そのことには全然かまわないで話す話す話す。
というか俺が話しながら自分の状況やらこれからどうするかを考えていっているようなもんだが。
その中に愚痴とかここに放り込んできた役人やらの文句やら言っていたけど。
食事というより餌を持ってくる役人も、俺を見てびっくりしていた。
まぁ、こんなとこに放り込まれてこんなに饒舌に話す奴なんて普通いないだろうな。
俺自身もしゃべることで頭整理しているから、自分の声がうるさいとか思ったりしてるんだけど。
だってここ、声が響くからな。
風呂の中で延々と話してるようなもんだ。









あらかた喋り続けて頭がすっきりしてきたころ、相手が急に叫びだした。
そしたらぶっ倒れた。
監視人が俺に事情を聞く。
話をしていたら勝手にキレたと話すと、妙な目で見られ、別室に移される。
その際の移動のときも、目隠しされたから位置関係とかが全然わからなかった。
あんまりあの街から離れてはいないと思いたいんだけどな。
それにしては街の喧騒とかが聞こえないから、それに関しては絶望的かもしれない。
ところで俺が捕まってからどのくらいの時間が経っているんだろうか。








移された部屋は、前よりも上質な感じがした。
とは言っても、ただ回りに同じような囚人がいないようなのと、監視人が俺に張り付いているからそう思うのだけれども。
・・・なんだか重罪人扱いじゃないか?
俺がやったことと言えば最低限生きるために必要な食料泥棒なんだけどな。
そのことを今度は監視人にひたすら文句を言っていく。
何もやることがないからな。
完璧に無視されたがかまわない。
見ていると、いらいらした様子で物にあたったりしているが、俺自身には害がないのでほっとく。
しばらくするとストレスがたまったのか、どこかに連絡して交代していった。
態度を変えずにいると、交代した監視人もあっというまに交代していった。
交代していく監視人の顔をじっくり観察するのも結構面白い・・・わけがない。










奇異の視線が多くなり、ウザイと思いながら急にまた外に出された。
もちろん目隠しをされているから今どこを歩いているのかはわからない。
足裏に感じる感覚が変わったと思うと、なんだか周りの雰囲気が変わったような気がした。
なんつーか、視線? 俺ここにいることが場違いというか・・・ 威圧感?
そして、何も声をかけられずに地べたに押さえつけられ、頭を強く打った。
とりあえず悶絶した。
上で何かしゃべっているみたいだったけど、例によって耳を封じられているので何を言っているのかわからない。
そして、声が途切れたと思ったら、顔の大部分を覆っていた布やらなんやらが外された。
「面を上げよ」の声で頭を押さえつけられたいた手が外され、俺はゆっくりと顔を上げた――。






















next