説明




朝起きてリビングに行くと、ナルトとシカマルが我が物顔でくつろいでいた。



「何でお前らがここにいる?」
「いいじゃんよ、お?この薬、珍しくね?」
「あぁ、、これもらうから」
「まて、それは苦労して作った・・・」
「何!?自作もの!?」
「だからまてと・・・」
「あーあ、ゴシュウショウサマ」
「・・・お前か、この現状の根源は」
「うわ、ひっでー言われよう」
「で?最後のセリフの準備はできたか?」
「ちょ、ちょっとまて。いくら俺でもあの二人に詰め寄られたら吐かないわけにいかないだろ!?」
「・・・忍びが機密事項漏らしてどうする、というわけで処刑確定。弁解の余地なし。最後の言葉が言い訳なんて大した人生じゃなかったな」
「いってぇとこつくなよー・・・」


苦笑いするこの男は前に暗部に入るきっかけを作った奴、紫苑だ。
本名は知らない。知ろうとも思わないが。
とりあえず、俺の居場所を漏らしたのはこの馬鹿らしいことはわかった。
なんだ、どこらへんから俺の人生計画が狂った。
静かにのんびり誰とも深く関わらずに生きていくとい計画が・・・。



「まーまー、もう手遅れだな・・・。」
「・・・こいつを助けてからか。よし、今更遅くてもその原因は消し去ってやる」
「・・・なあ、って実際いくつなんだ?」


指の体操をさせて紫苑ににじり寄るとナルトがまた興味を持った視線をこちらに向けていた。
ちなみに今の姿は前世のものだ。
この状況になってまで隠すのもめんどくさいことになりそうなので俺は正直に答えた。


「もうすぐ三十路」
「はぁ!!?」


嘘はついてない。ただ精神年齢を答えただけだ。
本当のことを言ってないだけで。
まぁ、そうゆう反応が返ってくるわな。


「何か問題でもあるのか」
「絶対嘘だ」
「あぁ、こんなやつが三十路いってるなんて認めねぇぞ、俺は」
「嘘は言ってないぞ」
「じゃあ本当も言ってないってことか、精神年齢とかいうオチじゃねぇだろなこら」
「おや、正解だ、シカマル」


さすがIQ測定不能か。
口には出さずに拍手、心はまったくこもっていないが。


「おいこの
「なんだうずまきナルト」
「ちゃんと答えやがれ。てめえはいくつだ」


そろそろ本気で殺気だってきそうだからちゃんと答えてやろうか。
や、ちょっとからかってやりたかっただけなんだけどな。
だっていきなり俺の家で勝手されたら誰だってイラつくだろう。
なんだか精神年齢三十路のくせにやることが幼いような気がするのは錯覚ということにしとこう。


「もうすぐ5つになるかな、たしか」
「「「はぁ!!?」」」


うん、まぁ予想通りのリアクションか。
でもナルトとシカマルには本来の姿見せたはずなんだけどな。


「ナルトとシカマルが前見た俺の姿が本来の姿だぞ。気づいていなかったのか?」
「マジでか!?今度は大人びすぎてるどころじゃねー!!」
「なんで今意味無ぇのに変化してるんだ?」
「っつか、そのくらい俺に教えてくれたっていいだろうが!!」


上から俺、ナルト、シカマル、紫苑だな。
なんだかテンション高いな、今日の俺の部屋は。
いつも俺しかいないから当たり前のことだけど。


「今変化してるのはそっちのほう使い勝手がいいからだ、あのチビの姿じゃ、いちいち高い場所にある皿をとるのもめんどうだろうが。それにわざわざ聞かれてもいないことを答える義務はない」


わざわざ条件にしてまで正体を隠してたんだ、聞かれても答えなかったけどな、そこらへんはどっかに放っておくことにする。
それぞれは呆れたような、納得したような息を吐き、じゃあ聞くけどさ、とナルトが切り出した。


「なんで暗部に入ったんだ?」
「そこの馬鹿をたまたま治療してやったら勧誘がしつこくてな条件をつけて取引した」


馬鹿ってなんだよ、という抗議が耳に入ってきたが全員無視した。


「じーさんはお前のこと知ってるのか?」
「火影のことか?知ってるのはという腕利きの医者がこの馬鹿つながりで暗部に所属しているということくらいだろう」


もっとも、俺は忍術は使えるが忍びではないけども。
この際火影に俺のことを教えてやってもいいかもしれない。どうせこの二人が教えるだろうから。
だったら新薬の実験場所の提供でも設けてもらえないだろうか。
作るだけ作ってまだ効果を確認していない薬がわんさかある。


「俺はこの力について教えてもらいたいんだがな」


シカマルが手のひらを上に向けるとその空中に炎のようなものを生み出した。
驚いた、もうそんなことができるようになったのか、昨日の今日だぞ?
シカマルの炎を観察する。
実際は炎ではなくエネルギー体でそれは熱も実態もないのだが。
半透明な青白い光、不安定な形をしているそれは遠くから見たら鬼火に見えるだろう。
俺も同じように手のひらの上に同じようなエネルギー体を生み出した。
ナルトと紫苑は少し離れたところで黙ってみているだけだ。
いつでも動けるようにしているのはさすが忍びというべきか。
さて、どう説明したものかな。


「これはシカマルもわかってると思うが、忍術によって生み出されたものじゃない。つまり、原動力はチャクラではない。他の力によって生み出されている」


手のひらの上のエネルギー体の形を変えていく。
炎の不安定な形から、完全な球体に。色は紅に。
特に意味がある行動でもないけども、まぁこんなこともできるって話だ。


「ではこの原動力とは何か、たぶんシカマルの予想通りだとは思うが。妖力だ」


やはり、というふうに頷くシカマル。
二人は驚いて俺とシカマルの手の上のものと俺たちの顔を見比べている。
ま、普通はそんな反応だろうな。(暗部に入っている時点で普通じゃないという突っ込みは不可だ)
俺は自分の生み出した球体を口の中に入れて小さな炎を吹いた。
サーカスかなんかでよく見る火吹き芸の真似ごとだ。
別に本物の炎ではないから熱くもなんともない。


「ま、こんなこともできる」


できたとしてもなんの利益もないが。
シカマルを見ると、俺を見ながらも手の上の炎の形を変えようとしているみたいだった。
苦戦しているらしい。まぁ俺でもここまで扱えるようになるのに数年はかかっている。
いくら天才でもすぐにできるようだったら本気で落ち込むぞ、俺は。


「シカマルに妖力があるのは俺の手術の影響だろうな。一度死んだ体に少しばかり妖力を使ったから大体は予想していたが」


炎を扱うことを後回しにしたらしい。シカマルはそれを握りつぶして手を振った。
右目を使えば妖力の残滓が散るのをみることができたのかもしれないが、左目のみの視界ではシカマルの手の中で吸い込まれるようにして消えたようにしか見えない。
言い忘れていたが、変化したときの俺の右目は開いているようには見えるが実際には閉じている。
ただ、そうゆうふうに変化しているだけだ。
顔右半面。つまり痣の部分と目だけの変化の術を解く。
チャクラの調節がすこし難しく、髪の色まで元に戻ってしまった。
右目を開けてシカマルを見る。
俺の痣の酷さに驚いたのか、それとも紅の瞳に驚いたのか、三人分の息を呑んだ気配が聞こえた。





back/next

本来ならシカマルへの授業?が終わるまで続く予定だったんですけど
思ったよりも長くなってしまったのでここできります。
今までのに比べると軽い感じにしてみましたがどうなんでしょう?
うーん、難しいなぁ・・・。なぜかシリアスっぽくなるんですが・・・。