妖瞳





俺の瞳を見て驚くのは当たり前の反応だろう。
俺だって驚く。
まぁそんな三人の反応をいちいち気にするときりがないのであっさりと無視するが。
んでもって右目でシカマルの中にある妖力を観察する。
観察対象になっているシカマルは微動だにしない。
俺の瞳は最近、人間のものというよりも獣のものに近くなっているからな、瞳孔もたてに割れてきているし、シカマルは逆に俺の瞳を観察しているのかもしれない。


シカマルの妖力は俺のものとは少し質が違うらしい。
初めて見る他人の妖力に自分のもこんな感じに妖力に包まれているのかなと思った。
俺よりはその量が少ないのは当然のことだろう。妖力を分け与えたのは俺なのだから。
しかし、妖力を纏わせてこうも平然としていられるのもすごいなと関心してしまった。
それを言うなら生まれる前に九尾から直接妖力を受け継いだ俺もよく生きていられるなという話になるのだが。
ほんとになんで俺は生きているのだろうか、しかも漫画の世界で。


「そのくらいの妖力なら、まぁいくつかの妖術も適当に扱えるようになれるだろうな」
「俺が、妖術を?」
「まて。そもそもなんでシカマルが妖力をもってんだ」


紫苑の口出し。


「俺がシカマルを生き返らせたからに決まっているだろう。手術に妖力を使ったとさっき言ったはずだ」
「や、だからそれもなんでが妖力もってんだ」


生まれる前に九尾から妖力分けてもらいましたと言ったらいろいろ説明が億劫なことになるな。
腹の中から目が合ったといわれても信じがたいだろうし。


「・・・・・・生まれつきだ」
「その間はなんだよ!!?」
「気にするな、はげるぞ。嘘は言ってない」
「じゃあほんとのことは言ってないんだろ!?」
「しつこいな、そんなことばっか言ってると女にもてないぞ」
「な、それは関係ないだろ!!」


まだぎゃーぎゃー言う紫苑は無視。
喋るのももう疲れてきた。
いままでこんなに喋ったことは無いぞ。自慢にもならないが。


「妖術は使おうと思えば使える。妖力を持っていればその扱いは忍術なんかよりもずっと簡単だ」


印なんて過程をしなくても術は発動するし、妖力が尽きても少し休めば勝手に回復する。
チャクラよりもずっと使い勝手がいい。
その原理はまだ全然よくわからないが、俺は忍術よりも妖術のほうが使う機会が多い。
忍術で使っているのは変化くらいのものだ。
昔(というほど昔のことでもないが)は幻術や結界の忍術も使ってはいたが今では妖術でも同じことができるので専らこっちをつかっている。


「その目も、生まれつきか?」
「あぁ、生まれつきだ」


これは結構使える言い訳だな、と思いながら俺は日課になりつつある朝の緑茶の準備をした。
もう起きてから一時間以上経っている。
そういえばこいつら、何時から俺の家に上がりこんでいるんだろう。
飯はどうした朝飯は。
俺は腹が減ったときにしか食べないからいいけど。
それに冷蔵庫の中は空っぽだぞ。
鬼火(俺命名)を使い水を沸騰させ、茶の葉を準備する。
急須に葉と湯を入れて、蒸らして机の上に置いた。
入れ方は適当だ、日本茶は好きだがそこまでこだわることもない。


「妖術の使い方、間違ってるよな」
「そこ、うるさい。俺の勝手だろ」
「使い勝手ほんとによさそうだな。他にどんな使い方してんだ?」


シカマルらしい質問だな。
普段は湯を沸かしたり、水を凍らせたりしかしない。
まぁ、シカマルならもっと日常生活に役立てることができるんじゃないのか?



「ずりぃ、俺も妖力欲しい・・・」
「紫苑の中に妖力埋め込んだら逆に取り込まれて妖怪の仲間入りになりそうだな。そうだ、そうしてやっから大人しく悪霊退散されろ、俺にとってはお前の存在が疫病神だ」
「・・・なんか、俺の扱い酷くね?」
「俺の人生計画を狂わせてくれたんだからこれくらいはしないと」
「ゴシュウショウサマ、紫苑。お前の犠牲は忘れない・・・」
「ナルト!?お前までそんな!!?」


つか、ほんとにこんなんでいいのか暗部たちよ。
日本茶をすすりながらそんなことを考える。
が、考えても無駄なことはわかっているのですぐにそれは捨てた。




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妖力、こんな使い方があればいいと思うのは私です。
今更ですがオリキャラの名前は紫苑にしました。読み方はシエン。
散々夢主から馬鹿にされていますがたぶんいいやつ。
ナルトたちの正体も夢主の情報を詰め寄られたときにチェック済み。
まぁこいつらなら大丈夫だろうと確認してからばらしましたという裏設定。
でも本人たちからはいじめられるキャラ(涙)