なんだかんだ言って、色々な環境が変わったということは特にない。
相変わらずとしての仕事が絶えることはないし、相変わらず変化していることが当たり前だし、相変わらず仕事以外で外に出ることはない。
まぁ、だけども一応、変わったことがなかったわけじゃない。
俺の名を呼ぶ人が増えた。
独りでいる時間が少なくなった。
変化を解く抵抗が軽くなった。
まぁ、それは全て裏の生活のなかだけであって、表ではまったく変化のない生活を送っている。
とはいっても、表の俺の存在なんて、ごくわずかの人しかいないのだけれども、母親のあまり近しくない知り合いとか。
つまり、表の世界では“ ”という存在はほぼ忘れ去られている、否、それ以前に認知されていないのだ。
詳しく説明しろといわれても少々困る。
母親の近しい友人、というのは九尾事件でほとんどが還らぬ人となり、それ以来母は新たな友人を作る気さえ起きなかった。
それだけの話だ。
あまり思い出したくない時期だ、あのころは。
思い出すだけ疲れるし、その行為からは何も得られない。
で、今回俺は里最強の護衛をつけてもらい任務に加わる。
もちろん護衛というのはナルトとシカマル両名だ。
任務を実質行うのは俺一人。
だけども俺が死んだらおおいに里としても彼ら暗部にしてもありがたくないことだからこの二人についてきてもらうことになったのだ。
今回の任務は、暗殺。
明らかに入隊のときの条件に違反する任務内容なのだけれども、俺は請け負った。
その時偶然にも窓にうつった自分の顔を思い出して、くつくつと笑ってしまう。
「どうした?不気味な笑いかたしやがって」
「お前の仮面に比べれば可愛いもんだろ、狐」
「くくっ、確かにな」
「なっ、烏だって不気味だろ!!不吉だし!!」
「どーせ暗部なんて不吉で不気味でろくなもんもねーだろぅが」
「「たしかに」」
その会話にけたけたと笑う。
まさか自分の情けない顔を思い出して笑っていたなんて絶対いえない。
任務内容を思い出してでも、と俺はその会話を続けた。
「今回は人助けに近いんじゃね?苦しんでる人を楽にしてあげるんだからさ」
「・・・まーな」
「こんな任務、初めてだろ」
不治の病に侵された祖父を楽にして欲しい、だが、殺されたとばれるとあとあとかなりの厄介ごとを招いてしまうので自然死、そして楽に死なせて欲しいというのが今回引き受けた任務だ。
どうやらその家はかなりの権力を有する大名と深い友好関係を築いていたらしく、下手に暗殺とばれてしまうと最悪戦争がおきかねないとかなんとか。
まぁそこらへんの詳しい話はわからなかったが、火影が必死に頼んでくるので思わず俺は引き受けてしまったというわけだ。
・・・なんかこんなパターンどっかであったか?
ターゲットのいる家に着いた俺たちは、まずまわりの気配を確認する。
とは言っても俺はいまいち忍びの気配とかがよくわからないので俺なりに人がいるかどうかを確認するだけだ。
まぁ、俺が確認しなくても里最強の二人組みがいるからには身の安全は完全に保障されていると思っていい。
特に忍びが雇われているという情報はないが、油断すると命の落し物をしてしまう世界だ。
うっかりペンを落としたっていうノリで死んでしまいましたじゃ冗談にもなりやしない。
危険物の処理は二人に任せるとして、俺は手元に注意を向けた。
陰陽師風の仕事着の袖の裾から、カプセルを取り出していつでもそれを使用できるかどうかを確認する。
顔を上げると夜の月が音も無く輝いている――。
いつもより、赤みが増しているように見えた。
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タイトルの四文字造語のネタが尽きてきた・・・