説教





「さて、お前の番だ」


ったく、ナルトの奴。
腹いせに俺のことをイルカの奴に差し出すなっつの。
周りに誰もいないのがまぁまだ、救われるってとこか。


「何やればいいんだよ、イルカ」
「・・・たっく。お前、先生をつけろ先生を。変化の術で俺そっくりに化けること!!」
「俺忍術駄目なんだけど」
「とりあえずやってみろ!!そんなんじゃ卒業できないぞ!!」


別に卒業できなくてもいーし。
ってか、下忍になるのってアカデミーに一年だけいればいいんだっけか?
あー、火影になんか色々裏工作されてそうだな。
ま、しょうがないから、今は言うとおりにやってやろう。
そう思って、ゆるゆると普段隠している手を出す。
ちなみに俺がアカデミーに通っている時の格好は暗部の時とかとはまた全然違う。
着ている服事態はまぁ、そのときそのときで全然違うけど、アカデミーではその上に体全体を隠すマントを巻きつけている。
最初にそれを紫苑に見られたとき、てるてる坊主みたいだ、とかほざいてたから制裁として俺が特製に作ってやった毒を盛ってやった。さまあみろ。

や、そうじゃなくて今は変化だろ。

妖力で姿を変えることはできるんだけど、今はイルカの目の前だ。
チャクラを使って変化をしないといろいろめんどくさい。


「なぁ、
「何」


印を組み始める俺に、イルカはどこか疲れたように俺に声をかける。
ま、どの教師も印を組む俺に対する態度はそう変わらない。


「もうちょっと、スピードを速めることはできないのか?」
「無理。というか、指を痛めるわけにはいかないし」


そう、俺の印の組むスピードはかなり遅い。
それは俺の特殊な特技と俺自身の持つ手の異様さによるところの原因が大きい。
まず、俺は素手、というよりも指による心霊医術を扱う。
もし万が一、指に負傷でも負ったらシャレにならない。
それももう一つ。俺の指の特徴。
覚えているだろうか。俺の指は極端に長い。
この体が作られてまだ10年。
だが、俺の指はもう成長をほとんど終えている。
おそらくこの里の誰よりも俺の指は長い。

そうだな。

右手を左手のひらの上に重ねてみてほしい。
指先をもう一つの指の付け根にあたるように。
右手の付け根から、左手の指先までの長さが、今現在の俺の手の大きさだ。
しかも、指だけが発達したから、手のひらと指の倍率が明らかにおかしい。
手のひら1に対して、指が2の割合。
それにくわえて、指の太さは他人よりも細いのだから簡単に折れそうで危なっかしいのだ。自分自身が見ても。

必然的に、俺の印を組むという行為の速度はこれ以上ないくらいに遅くなる。
変化の術を発動するために必要な印を組み終えるまでに、大体30秒強くらいか。
ボフン、と間抜けな音と意味不明な煙。
高くなった視界に煙が現れる前と同じ呆れたイルカの表情。


「・・・印を組む速ささえなんとかなればもこれ以上ないくらい優秀なんだけどなぁ」
「別に、どうだっていいし」


だいたい、忍術で起こす大抵の効果は妖力で模擬できる。
それに、俺はもともと忍者になるつもりなんてない。


っ!!患者よ!!』
『わかった』


ウサギのテレパシー能力。これも妖力を使っている。
だいたい、暗部の医者で大体の生活費を稼いでるのに、わざわざ忍者になって命の危険をさらす必要はない。
俺がアカデミーに黙って通っているのは、火影とかに押されて、だけじゃなく、万が一俺を狙ってきた忍者からの対応のための、情報収集だけだ。


「イルカ、急用ができたから」
「あ、おい待て!!」


待てといわれて待つやつなんていない。
言われたらお決まりの文句でも言おうかと思ったが、思うだけでやめた。
さっさと外に出て、暗部の待機所に向かった。


「・・・あのサボり癖も無かったらなぁ」


背後のイルカの呟きも無視した。
俺の仕事を知らないからな、あいつ。
・・・ちなみに言っておくが、俺の精神年齢はイルカより上だ。





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だから敬語は使いたくないというわがままな主。
なんか原作が進みませんね。
ある意味完成しているプロットにさらに付け加えるわけだからいろいろと考えるのかな?
一応宣言しときます。
次は卒業試験。