ざっと見た、シカマルの腕にある傷、下忍にしてはかなりの重傷に分類されるであろう傷を、指ひとつ軽くすべらせて治し、ほかに怪我はないか、“眼”を使って確認する。
シカマルの体にまとわりつく妖気がずいぶんと馴染んでいるのに少し感心して、その場にいる全員のあっけにとられた様子にようやく気付いた。
「どうかしたか? 間抜けな顔して」
全員が全員、同じような表情をしている意味がわからず、これもチームワークの一貫か、と一瞬頭に浮かぶ。
・・・自分でも的外れな考えだな。
じゃあ、一体なんなんだ。
「お前の治療方法に驚いたんだろ、俺もチャクラ使って治すと思ってたし」
「俺がチャクラを使って人の傷を治したことがあったか?」
たぶんほとんどの確立でシカマルの腕吹っ飛んでミンチになったと思うぞ。
なんだ、俺が何かとんでもない問題でも起こしたんじゃないかって思ったじゃないか、まぎらわしい。
アスマが大きく息を吐く。
「・・・まっさか、噂のがこんな餓鬼だったとはなぁ・・・」
ゆらゆらと揺れる煙を焦点の合ってない目で見送る大男。
――現実逃避してるな、これは。
っていうか、俺のこと知ってたのか、まぁ、存在も正体も大して隠そうとしてないし、知っててもおかしくはないか。
有名になったな、。
「というか、よく俺がわかったな」
「ん? 覚えてないのか? 一応お前に診てもらったことがあるんだが」
「いちいち患者の顔を記憶するわけがないだろう」
その言葉にようやく復活できたらしいチョウジといのに、らしいね、と呆れなんだか感心なんだか判別つかないコメントをもらった。
「まさかあんな特技を持っていたとは、驚きましたね」
次の試験会場へ向かっている途中、俺の先を行くハヤテが視線を袖に隠れた手を見ながら話しかけてくる。
そういえば、この人こんなに常時具合悪そうなのに、一回も俺のとこに来たことないな。
意外と中身は健康体だったりするんだろうか。
「特徴的な手だとは思っていたのですが・・・、生まれつきなんでしょうか?」
「いや、能力はもともとだったが、手は作った。 ついでに言うと、この髪も皮膚も血液も、手の加えられるものは都合のいいように改造してある」
「・・・それは、また」
「やるからは、とことんやったほうがいいのだろう?」
次の目的地が見えてきた。
たいくつだ。
馬鹿騒ぎしているナルトがふっとばされるのを見下ろしていた。 木の茂みに体を隠しながら。
心の中の独り言が聞こえてしまったのか、眠たげな視線をちらりと向けられて存在を無視されてしまった。
別に騒々しいナルトじゃあるまいし、それに触発されないし、俺としては最後まで存在無視を続けてもらいたいくらいなんだが。
あ、ナルトが川から飛び出てきた。
あの演技も大変そうだな、なんだってあんな設定にしたんだろうか。
あまりにも落差がありすぎて、最初のころはそれに慣れるのがつらかった。
今でも、あまり近づいてほしくない、ウサギみたいに耳がおかしくなりそうだし、何かにつけて巻き込まれるし。
あ、トラップに引っかかって木に吊り上げられた。
って言うかなんで俺って七班の鈴取り演習に参加させられてるんだろ。
カカシが医療忍者をやるにしても、自分の身を守る程度の力は必要だとかほざいたからか。
だからって、だからってなんで自分も自分でこんな面倒なことに参加してるんだか。
あ、サスケの生首発見。
あれって土遁の術だろうか。
応用すれば拷問に使えるな、見下しながら生理的に受け付けないようなものを食わせたり浴びせたり食事抜きやらせたり色々すれば精神的ダメージが大きそうだ。
ついでに四肢を圧迫させたりとかしたりしたら、確認できない恐怖も加わってより、効果が増すだろう。
今度機会があったら試してみよう。
それにしても、平和だ。
あ、これはサクラの悲鳴か・・・っていうか、色気ねぇな。
そろそろカカシが俺のところに来るかもしれないな・・・。
ダルイ・・・首をぐるりと回してそれらがちゃんとあるのを確認する。
さーて、どうしようか・・・って、
あ、もうカカシが俺を確認して薄ら笑いみたいのしてるし。
と、思ったら近場の木の枝に移動して俺と目線の高さを合わせた。
やっぱり眠たげな目してるな。
でもやっぱり上忍と言うべきか、とりあえず俺に近づける範囲ぎりぎりの位置。
顔の大部分を覆っている布がわずかに動いた。
夏とか見てるだけでうっとおしい。
「確かにこれだけの数の仕掛けとトラップはすごいけど、自分の逃走ルートも確保しとかなきゃダメデショ?」
まぁ、普通に忍術での攻撃範囲内になるしな、カカシの立ち位置と俺の位置。
普通なら出来ないだろうけど、一応逃走ルート、あるんだけど、どうしようかな。
んー、まぁいいか。
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わけがわからないけどなんか巻き込まれてる主人公。
とりあえず流されるままで。